社長の独り言
『立場がわかる人に』
立場から見える景色はそれぞれ違う。
社長と従業員。
上司と部下。
サービスを提供する側と受ける側。
親と子ども…。
少し、ワタシのサラリーマン時代の話を。
ワタシは生え抜き社員として当時の社長に可愛がっていただき、多くの挑戦の機会を与えてもらった。
でも会社が大きくなるにつれ、優秀な中途社員が次々と入社し、若かったワタシは焦りや反発心を抱くようになったのも覚えている。
「社長は自分を分かってくれていない。」
そんな青二才な時期もあった。
その頃を振り返り、自分が社長の立場となり気づくことが沢山ある。
あの頃のワタシは、どれほど尖っていて扱いにくい社員だったのか。
それでも社長は、どれほど期待し、育てようとしてくださっていたのか。
今なら痛いほど分かる。
当時の社長は、社員育成のために本当に良い環境を用意してくださっていた。
海外の取引先と直接やり取りできるよう、英会話の先生を会社に招き社員全員が英語で応対できる環境を整えてくださったり、
また、高級フレンチレストランへ全社員を定期的に連れて行き、自然とテーブルマナーが身につくように考えてくださっていた。
ところが当時のワタシや若手社員は、その意図を理解することなく、「フレンチより焼肉がええな。」そんな愚痴を同僚と話していた。
今思えば、本当に恥ずかしい。
「親になって初めて親の気持ちが分かる。」よく聞く言葉だ。
ワタシも社長の立場になって初めて、あの頃の社長の考えや配慮、そして計らいの意味が理解できる。
今は社長という立場だが、25年前までは従業員の立場だった。
だからこそ、まだまだ十分とは言えない会社ではあるけど、従業員だった頃の視点を忘れず、職場改善はその視点で意識している。
その立場にならなければ分からない。殆どの人がそうかもしれない。
社内研修を見ていてもそうだ。
社員が「話す側」を経験すると、どれほど準備を重ね、緊張しながら一生懸命伝えているのかが分かる。
すると、次に誰かが発表する時には、聞く姿勢が自然と変わる。
自然とうなずきながら話しやすい空気をつくり、相手の思いや意図を受け止めようとする。
それが、相手の立場が分かる人になったという事であり、本当の意味で大人になった人だ。
サラリーマン時代の話をもう少し。
20代前半のワタシは営業成績も比較的良く、「直属の上司より、自分の方がうまく回せる。」と本気で思っていた。
しかし26歳で役職に就いた瞬間、その上司がどれほど多くのことを考え、責任を背負っていたのかを思い知らされた。
立場が変わると、見える景色も変わる。
そして一番伝えたいことは。
たとえ自分が経験していない立場であっても、お互いの立場を「理解しようと努力する」ことが、とても大切だということ。
福祉サービスは、人の人生に寄り添うプロの仕事。
本来なら、一般社会以上に相手の立場を想像し、理解しようとするセンスが求められる。
身体に不自由さを抱える人の立場。
幻聴や幻覚と向き合っている人の立場。
精神的な病気を抱える人の立場。
病気で入院し不安な人の立場。
家族の問題を抱えている人の立場。
家族を失った人の立場。
職を失っている人の立場。
生きる希望を失っている人の立場。
世の中には、自分が経験したことのない立場が数え切れないほどある。
そんな方々に寄り添う私たちが、まず一緒に働く仲間の気持ちやお互いの立場を理解しようとしなければ、
本当の意味で、利用者さんに心から寄り添うことはできないとワタシは思っている。
ディスカバリープロジェクトでは健全な意見の対立がある組織でありたい。
でも、その土台には、お互いを認め合い、尊重しようとする気持ちや信頼が必要だ。
それこそが、私たちが目指している『優しくて強い組織』だ。
そんな成熟された組織がベンチマークとなり、まだまだ閉鎖的な部分が残る障害福祉サービスに良い影響をもたらし、日本の福祉がアップグレードされ、利用者さんの安心と信頼に繋がると信じている。
私自身も、これからも様々な立場を理解できる人でありたい。
完璧にはできないけど。
それでも、相手の立場を理解しようと努力し続ける経営者でありたいと思う。
ワタシが尊敬するお二人のように。