ディスカバ航海日誌

プログラム紹介(1)
アクティブスポーツ

ディスカバリーの療育プログラムを実際のタイムスケジュールに沿ってご紹介していきます。
第一回は「アクティブスポーツ」。月に2回、隔週で行われる社会性と協調性を育むプログラムで、小学低学年から中学生までが一緒に運動に取り組みます。ディスカバリースポーツが掲げる目的の「コミュニケーション能力向上・ルールの把握と実行・チーム連携(協調性)・探究心・統率力」の集大成です。長い人生の中で必要不可欠となる社会性や協調性を身につける第一歩となるプログラムです。

本日のルールは以下の3つ。

1. 始まりと終わりに必ずあいさつをしよう
2. 勝手に外に出ない
3. プログラムの邪魔になるようなことをしない
4. 終わった後はみんなで掃除をしよう

会場入り〜集合〜準備運動



本日の会場は猪名川ゆうあいドーム。天井が広く開放感のある施設で、全面テニスコートになっており、グラウンドの表面にはうっすら土が盛られています。室内にもかかわらず、外の自然光が内に取り込まれる構造で、人工的な感じはそれほどしません。

16時。まずはクラフト(放デイ低学年)所属の子ども達6名が到着。ドームの中に入った瞬間から歓声をあげて、追いかけっこが始まります。スキップしたり、クルクル回る子も。スポーツ(放デイ高学年)とスタジオ(放デイ中高生)の友達が到着するまでの30分間、広々したドーム内でのびのびと遊んでいました。



16時30分。スポーツから3名、スタジオから5名のお友達が合流し、本日のプログラム参加者が全て揃いました。総勢14名。それに対してディスカバリーのクルーは6名がつきます。スポーツの責任者である西村が全体指示とタイムキーピングを行います。

少し多動なところがある子ども達。すぐに集合をかけることはしません。まずはドームを思いっきり走りまわって、エネルギーを発散させます。頃合いを見て、西村先生がピピーッと笛を吹きました。
「はい、みんな集合!」
体育座りをして先生の周りに集まります。
「まずは最初にあいさつをしよう。今日も1日よろしくお願いします!」
「おねがいしま…キャーー!!」音量のコントロールができず、叫び声をあげる子がいました。
「もう一回」
「おねがいしまーーす!」今度は落ち着いてみんなの声が一つになりました。

屈伸やアキレス腱のばしなどの準備運動の後、今日のルールを説明します。テニスコートのネットにもたれない、飛び越えようとしないこと。友達の邪魔をしないこと。ドームの外に勝ってに出ないこと、などを確認しました。

鬼ごっこ

まず最初に全員で取り組むのが「鬼ごっこ」青と赤のゼッケンをつけて、鬼に捕まるまで逃げ回ります。捕まった人はテニスコートの一面に見立てた「ろうや」でじっとしてないといけないというルール。みんなキャーキャー言いながら走り回っていましたが、ここで小さなアクシデントが起こりました。

体格の大きな中高生の子が、低学年の子と手をつないで一緒に仲良く走っていたのですが、走るペースが合わず、低学年の子がこけてしまいました。中高生の子はそれに気づかず、手を離さなかったために低学年の子が地面を引きずられてしまったのです。クルーがすぐに気がついて、二人を引き離しベンチに座らせました。なにが起こったのか、なぜそうなったかをすぐに理解させました。「相手と呼吸をあわせることが大切だね」ちょっとびっくりしましたが、もう大丈夫。落ち着いたところで二人はグラウンドへ戻り、再び鬼ごっこの輪に加わりました。



鬼につかまった友達が次々に「ろうや」につながれていく中で、最後まで捕まらずに逃げ回っている友達がいました。クルー全員が青のゼッケンをつけて本気モードで追いかけます。ネットの裏で先生が最後の一人を「はさみうち」。みんなキャーキャー言って盛り上がりました。

「あー、おもしろかった」「たのしかったねえ」
西村先生が「よし、じゃあいったん休憩しよう。みんな、水分補給するように」

縄跳びと風船バレー

休憩のあとは2チームに分かれます。縄跳びをするチームと風船バレーをするチーム。
風船バレーはゆうあいドームのテニスコートを利用してボールではなく風船を使った、バレーボールです。3回までタッチOK。バレーボールが苦手な子でも風船であれば、ふんわりゆっくりなので対応できます。ラリーが続くと「いいよー!」「ナイスプレー!」と声をかける先生。プログラムを心から楽しいと思ってもらえるような雰囲気づくりをディスカバリーでは大切にしています。



一方の縄跳びチームは、まずそれぞれが縄を持って思い思いに跳びます。二重跳びをする子、後ろ跳びをする子、最初は好き勝手に跳んでいましたが、しばらくすると先生が「今から回数を数えるから、それに合わせて一緒に跳ぼう」と提案します。
「1回」「2回」「3回」
バラバラに跳んでいたのが、だんだん呼吸が合っていきます。「5回」「6回」「7回」回数を重ねると、みんなのジャンプがあってきて一体感が生まれました。



盛り上がってきたところで、二人の先生が長いロープを用意しました。大縄跳びです。身体の小さな低学年の子からすれば、長くて大きな大縄に飛び込んでいくのは少し勇気がいります。「こわかったら跳ばなくてもいいよ。くぐるだけでもOK」







中には大縄跳びが得意な子もいて、ひねりを加えながら器用にジャンプをしていました。 「いいよー!」「ナイス!!」「さすが!」ここでもクルーが子ども達に声をかけます。

プログラムが終盤にさしかかっても、一人だけベンチで背中を向けて寝転がっている子がいました。身体を動かすのがとにかく楽しい低学年と違って、中学生になってくると反抗期が入ってきてプログラムに参加しない子が出てきます。参加しないからといってディスカバリーのクルーが、無理に参加を促すことはありません。みんなの注目を浴びるような声かけをせずに、まずは優しい無視をします。もちろん、そのまま放置するようなことはなく、スタッフが入れ代わり彼の側によりそい、話しかけていました。

掃除〜終わりのあいさつ

17時。2チームに分かれて取り組んだ運動プログラムが終了。走り回って足跡がついたグラウンドにトンボをかけて掃除をします。トンボのかけ方の説明をします。
「前に押すのではなくうしろ向きに進む。なぜかわかる?」
「あしあとがつくからー」
「正解!」
…そのようなやりとりをして、掃除開始。これがなかなかスンナリとはいきません。同じところを何度もかける子。思わず走ってしまい、トンボが宙に浮いて土に触れてない子。

「ゆっくり、ゆっくり」
「同じところはいいから、やった所のとなりにトンボかけてな」
「きれいにした上を歩かない」

決して頭ごなしに注意することはありませんが、できるまで諦めずに声をかけ続けます。
そして掃除が終わり、はじまりと同じように集合。最後も礼で終わります。
「ガヤガヤ…ありがとうござい…ガヤガヤ…」
「もう一回」
「ありがとうございました!」
みんなの声がそろったところで、本日の療育プログラム「アクティブスポーツ」終了。先生に名前を呼ばれた人から一人ずつドームの外に出て、送迎車に乗り込んで帰っていきました。

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